S10CからSUMへの材料変更によるコストダウン

Before

 精密シャフトなどにS10Cを量産部品の材料として用いている場合、切削性が悪く切粉が分断されにくいという切削加工時の特徴があります。切粉が分断されにくい場合は切粉が繋がり、ワークに接触、ワークに傷が付いたり、チャックへの挟まりから自動盤の連続運転に支障が発生することから、サイクルタイム、歩留りが悪化しコストアップとなってしまいます。

VA・VE設計実例

After

 精密シャフトなど部品の仕様上問題が無ければ、S10CからSUM材に変更することでシャフト加工における切削性を向上させることができます。SUM材の場合は切粉が細かく分断されやすいため、切子のワークへの接触や、チャックへの挟み込みといったトラブルを防止することができ、サイクルタイム向上、歩留り改善からコストダウンを実現することができます。

POINT

精密シャフトなどの量産機械加工部品の材料がS10Cである場合、切粉が繋がり易くワークの傷発生や自動盤の連続運転に支障が発生します。材料変更が仕様上許されるならば、S10CからSUM材へと材料を変更します。この材料変更により、傷発生の防止と機械の安定稼働を実現することができ、シャフト加工におけるサイクルタイムの向上、歩留りの向上を実現することができます。

材料選定

  1. SUS303からSUS303CUへの材料変更によるコストダウン
  2. 焼鈍材料への材料変更によるコストダウン
  3. S10CからSUMへの材料変更によるコストダウン
  4. 棒材からパイプ材への材料変更による工程省略コストダウン
  5. 海外材料の活用による材料調達コストダウン

形状設計

  1. ブローチ加工の設計最適化による難加工の排除
  2. ローレット加工部の角形状変更によるコストダウン
  3. ローレット有品の最適設計による研削加工コストダウン
  4. 製品角部の逃げ溝の設計最適化による難加工の排除
  5. フライス掘り込み部の底部設計変更によるコストダウン
  6. フライス加工部の底部形状変更によるバリ抑制コストダウン
  7. 六角材加工品の図面指示変更による高精度化
  8. 穴底部の形状変更による穴底角公差の高精度化
  9. 穴底部の形状変更による穴加工コストダウン
  10. 段差形状の形状変更による加工コストダウン
  11. 長穴加工部品の穴形状変更による穴加工コストダウン
  12. ザグリ加工部品のザグリ部形状変更による加工コストダウン
  13. 角面取り部の角部形状変更による加工コストダウン

公差

  1. コーナーRサイズ表記の図面指示変更による加工コストダウン
  2. ネジ有効径長さ確保の指示による難加工の排除
  3. 素材面粗度の図面指示変更による加工コストダウン
  4. ネジ下穴の安定確保の指示による加工コストダウン
  5. 逃げ溝形状の角度指示変更による加工コストダウン
  6. ネジ有効径の図面表記変更による加工コストダウン
  7. 止まり穴の穴底角度指示変更による加工コストダウン
  8. R位置部の寸法指示変更による測定コストダウン
  9. 貫通穴のテーパー部寸法指示変更による高精度化

工程

  1. 左右対称精度部品の形状変更による工数削減コストダウン
  2. 位相寸法表記の変更による加工法変更コストダウン(CNC→カム)
  3. 切削ねじの精度変更による加工方法変更コストダウン(切削→転造)
  4. 量産部品の工程分割コストダウン(CNC複合→カム+フライス)
  5. 加工指示表記変更による工程集約コストダウン(研削→ローラーバニッシュ )

表面処理・熱処理選定

  1. 部品形状変更によるめっきの密着向上コストダウン
  2. メッキ活用による材料コストダウン(SUS材→鉄材+無電解ニッケル)
  3. 研磨シャフト部品の材料コストダウン
  4. メッキ種類変更によるコストダウン(無電解ニッケル→亜鉛メッキ)